さくらという花はありませんと、このホームページではいろんなところに書いてあるのですが「代表的な桜はなんなの？」みたいな質問が着ます。じゃあ、聞きますが「ニンゲンという人間はいません、じゃあ代表的な人間はだれなの？」これに答えられる人はいないでしょう。それとおんなじ。総称とでも言いますか枝垂れ桜も山桜もソメイヨシノ桜も緋寒桜も里桜もエドヒガン桜もすべてひっくるめると、まぁさくらとでも申しましょうか。だからさくらという言葉を聞いて、想像する桜もこのせっまい日本のなかでも地域によって違うわけです。

　 そのことをみなさん忘れてほしくはありません。そしてそれぞれのさくらの仲間たちにはそれぞれ名前や愛称、それに品種名や生まれだってあるわけです。人間だって名前は「諏訪さくら」旧姓「車櫻」、愛称は「さくらちゃん」で、生まれは東京葛飾柴又みたいにね。さくらさんに向って「おい、人間」なんてだれも呼び掛けはしないでしょう？「おい、さくら」と呼べるのは寅さんだけでしたしね。

　自然のなかで生きている生物はすべてそうなんだろうけど、どういうわけかその中のひとつの人間がそんな単純な事を忘れている。そして自然もいつかは亡くなるってことも。もうひとつ自然のことをよく忘れてしまう私たちですが、土の質だって日本の中では違います。それによってろ過された水だって違うわけです。さくらの花の色だって変わってきます。「水があわない」なんて言いますが、その土地の水がある人にとってはあわない事だってあるわけで。自然現象の天候の違いは中央のマスコミから発信されるおおまかすぎる天気予報でだれでもわかっているのに、自分の生活している土地や水、天気の移り変わり方や風の道なんかは知りません。「えらそうに言うが、じゃぁお前はなんでも知っているのか」そうケンカを仕掛けてくる人にはこう答えます。

　「私は阪神淡路大震災という自然災害にあい、たくさんの物を失いました。蛇口からでる水がなくて困っているとき、私は神戸のどこにはわき水が湧いていて、そこに行けば欲しい水が手に入ることを知っていました。それを知っているだけで、助かったわけです。あなたは万が一の時どこに逃げればよいか、そしてどこに水が湧いているかくらいは知っていますか？また教えてくれる隣人はいますか」と。いくらインターネットでなんでも捜せても、あの時はコンピュータを動かすための電気はありません。助けてくれたのはコンピュータではなく、となりにいた人たちなのです。

　2001年新世紀に向って神戸は復興しました・・と中央のマスコミは伝えます。うわっつらだけ見て、そう情報操作しているわけです。それに神戸だけでなく大変な地域は三宅島や洞爺湖畔、雲仙普賢岳たくさんあります。ただ、あの震災で傷ついた人たちはまだまだ復興なんて言葉を言える状態ではない事実は知ってもらいたいのです。神戸で生活しておれば、そんなこと馬鹿でも感じます。軽々しく「神戸の町は復興しました」なんて言うアナウンサーには「そらあんた、よそもんやもんなぁ。あの状態も見てもないやろ、そこの場所に住んでた人が今どんな状況か知らへんのやろ」そう誰もが心の中では思っています。その現場に行かなくては見えないものもたくさんあります。さくらがいつからか「さくらイコールソメイヨシノ」に変わったのかも、私はマスコミの映し出すソメイヨシノ桜の映像の悪しき影響だと考えています。また桜のシーズンになれば毎回の様に映し出されるソメイヨシノ桜の樹のしたで酒飲んでどんちゃん騒ぎする人たちの映像もまた桜好きな私なんかからみれば、それしか桜をとらえられないわけ？とディレクターなりカメラマンなりの稚拙さにあきれてしまうのです。

　稚拙と言いましたが、幼児の方がステキな表現をします。この写真の桜を見て「きれいな渦巻き桜。桜きれいなぁ」と。樹の枝にぶら下がっている花だけが桜ではないのです。渦巻き桜は兵庫県西宮市、場所は阪急夙川駅近くの夙川に咲く渦巻き桜。

　*このページの製作年は2001年、データ内容は当時のものです*