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「イルカがいるか?」「いるで。そこに」親子は楽しそうにイルカが泳ぐ須磨の海をながめている。


 百人一首にもうたわれ、『源氏物語』にもその海岸の景色がえがかれている。そして海外の人もその美しさに魅了され、同じように歌まで創ったビーチボーイズ。そのSuma Hamaにイルカが泳ぐ。


  一目で親子だとわかる顔立ち。センスも似ている、遠まきに佇んでいる母親らしき女性はkitsonのバックを肩からかけ、日傘をさし、まるで点描画家スーラの絵のようだ。


  二匹いるイルカをみつめながら子どもが言う。 「男の子と女の子かなぁ?」 「男のイルカは凶暴なんだよ。母親とその子どものイルカがいるとするだろう。そうすると、お父さんではない雄イルカが襲ってきて母親イルカを連れ去ることだってあるんだよ。だから、きっと女の子のイルカふたりだね」 「だから仲がよさそうなんだね、だって大きなイルカについていっているもん」


  たしかに、しかし大人の世界ではそれは素直にそうとは受け取らない話しなのだ。大きなイルカに歯向かうと虐められてたいへんだから。しかたなく力の弱いもの、ちいさきものたちは大きな方にしたがうのだ。パワーハラスメントというやつだ。


  さすがにお父さんは、そこまでは言わなかったけれど。だけどイメージだけのイルカの世界を子どもが信じてはいけないように、話す姿がなかなかいい。世のなかの空気というイメージは、いつわりのペテンである。横で聴いていても、信頼できるお父さんだ。この子どもも大きくなり、そして世の中の競争ということを知ると、このイルカの関係が解るのかもしれない。


  私も聴いたことがある。日本で流通している動物に関するイメージとか話しはある側面 だけで、ウラにある動物本来の生きるという残酷さなどは伝えないと。雄イルカだけに限らないが、動物は雌が欲しさに連れている子どもを殺してしまうことはある事実なのだ。


「イルカはなに食べるん?」「この須磨の海にいるサカナやタコや海藻ちゃうかなぁ」「ボクの食べる分は残しといてね」 夏の須磨海岸は水着姿の女の子をみるために集まる雄がうじょうじょしている。だから須磨海水よくじょうと呼ぶ。その目の前の海に明石鯛や蛸、そしてワカメなどの海藻がいるなんて誰も想像していない。


  だけどこの男の子はちがう。自分も食べる美味しい生き物がそこに住んでいることが解っている。わたしもかってはこの子と同じ感性を持っていたはずだ。かつては純真なこころをもちあわせていた。 そして彼と同じように父親と母親に見守られ、幸せな子ども時代がそこにあつたはずだ。そう美しい須磨の海岸に。イルカ「君の悲しみの」を聴きながら 2013.7.21@KOBE Suma Beach

わくらばに 問ふ人あらば 須磨の浜に 海豚たわむれ 恋しかるべし

今年も子どもとともに歳時記2013年

「父の無念をはらしたい」@アスベストの会10.14
>「あっちからこの道みたら」@備前片鉄ロマン街道9.16
「名を名乗れたたき切ってやる」@備前長船刀剣博物館9.15
「大団円」@特別 急行ちどり号、三次発9.1
「よろこびを人にあたえてこそ」@自然の森M.G.ユース8.31
「大和はわるうぅないんです」@大和ミュージアム8.30

のみ水だけでしあわせ」@あの日におもう8.6
イルカがいるか?」@須磨海岸7.21
お酒が先生とちゃう」@Pubランボー2周年7.19
わかってくれるかぁ」@先輩のアトリエ7.5
ファンは素敵だ」@大和選手さよなら打6.29
大丈夫、球場でもいこか」@神戸の広島球場6.3
すごいなぁ」 @甲子園球場5.26
日本一のZeiss」@日本一の天象儀5.15
子どもも大人も腹はへる」@御影だんじり5.35.3
あぁ満開、びわ桜」@海津大崎の桜舟4.14
桜は今日が一番ですわ」@津山城の満開桜4.5
おおきなお山が三つ」@播州三ツ山大祭4.4
すごすぎ Great 」@LJライブ4.12
Solo Guitar Tribute to the Beatles
花は咲く」@満開の梅3.11
開かれた狭き門」@ライブKobeTORROAD3.9
同じとおもうおろかさ」@春節祭2.10春節
夢で遇えたら」@そして神戸18年1.17
夢のでら特急」@リニア鉄道館1.4
男は祭りやねぇ」@妙法寺追儺式1.3新年



子どもとともに良き日に。

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