桜いろに衣は深く染めて着む
花の散りなむのちの形見に 
紀有朋・古今和歌集

里桜を観るなら大阪造幣局の桜の通り抜け

 桜は植物分類学上ではバラ科に属し、その中のサクラ亜科、サクラ属とつづく。名前の由来は数々あり、どれも本当っぽい。さくらさくから「咲く」の「ら」をつけた簡単な由来ですら、ピッタリとしていて美しい。どれが本当かなんて、当の本人桜自信や私たち桜好きにはどうでも良いことのように思える。もともと桜と言う植物のサクラは無く、この「美シキ桜ノ咲ク國ガアッタ」で紹介している桜は沖縄での桜寒緋桜吉野の桜で有名な山桜とその仲間、北海道に多く咲く大山桜。不死鳥のごとくよみがえった根尾谷の淡墨桜の仲間エドヒガン・アズマヒガン・ウバヒガンの桜、そしてその中でも枝の成長が早く枝が枝垂れた枝垂れ桜の仲間。みなさんよくご存知のソメイヨシノの桜。そして桜とはあまり感じない人も多い、里桜。桜は古くから和歌や絵画のテーマに取り上げられているように、鑑賞する樹木としての役割が多く、そのため人の手で数々の方策がこうじられてきたのであろう。ソメイヨシノの桜に代表されるように観賞用として江戸時代にはたくさんの園芸品種の桜が生まれた。

  私は好きではないが菊のような300から350枚の花弁をつける菊咲きの桜もある。また緑黄色の花びらをつける御衣黄(ぎょいこう)など花の色も桜イコール白や桜色ではない桜もある。どこまでを桜として感じるか、なんてことは人それぞれの感性で、植物学上これも桜なんです、と言われれば「はぁそうですか、でも私の目には桜と映りません」と答えるだけだ。沖縄の人はあの沖縄らしい赤に咲く寒緋桜を桜だと感じて当り前だろうし、西日本の人は桜イコール白もしくは白っぽいなかにうっすら桜(Cherry Blossom)色だし、東京は桜イコール鴇色(Pink)なのだ。北海道の桜もピンク色だが大山桜は山桜の特徴の花が咲くとき一緒に新葉も出るので、感じが違う、どちらかというと赤ちゃんピンク(Baby Pink)色。里桜で良く知られているのが関山のチェリーピンク(Cherry Pink)色した、紫を帯びたピンクで丈夫で長持ち、成育がいいとその色が好まれて海外などにも広く栽培されている。また、街路樹としてもよく植えられている。花びらは20-45枚くらい有りよじれている。花びらが多いのが里桜とも思われているが、花びら5枚の私たちが桜と言うと絵にすぐ描ける花をつける嵐山や金剛山などの里桜もある。

  里桜を一度のみられるのが北海道松前、東京多摩森林科学園、そしてここ大阪造幣局の通 り抜けだ。ただ桜を静かに楽しむと言う趣なら多摩森林科学園の散歩をおすすめする、ここは大阪の春の風物詩として桜をわいわいと楽しむところだ。歴史も古く1883(明治16)年からで100年を越えての「通 り抜け」だ。しかし短い560メートルくらいの旧淀川沿いに約120品種400本あまりの関山、普賢象、松月、紅手毬、芝山、黄桜、楊貴妃などの里桜が豪華絢爛と咲くので、一度にたくさんの桜を楽しめるのはなんとも関西風で色合いまで関西風なので良いではないか。関西人はせっかちなのだ。とにかくさっさと素早く里桜を観察するにはもってこいの場所なのだ、そしてついでに大阪のおばちゃんも観察できるおまけ付き。ちなみに日本円のはじまりはここ大阪の造幣局で明治3年から作られた圓硬貨からだ。

*このページの製作年は2000年、データ内容は当時のものです*
 昔からこのあたりは桜の名所で「桜宮」と言う地名まである。造幣局の桜は明治の初めに藤堂藩の蔵屋敷(泉布観の北側)にあった桜が移植されたのがはじまり。他では見られない珍しい里桜が藤堂藩によって全国から集められていて、そのながれがここにこうして桜を愛する人たちの手で残っているのだ。ここには紅手毬、大手毬、小手毬及び養老桜の他ではあまりお目にかかれない桜とも出会うことができる。同様に広島の造幣局でも桜の通 り抜けを開催している。

 

 


2000年の桜の通り抜けは4月18日(火)〜24日(月)までの1週間
2001年の桜の通り抜けは4月17日(火)〜4月23日(月)までの1週間
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時間は平日10時〜21時、土・日9時〜21時
場所大阪市北区天満1-1-79
交通JR環状線「桜ノ宮」駅又は「京橋」駅下車徒歩15分
JR東西線「大阪天満宮」駅下車徒歩10分
地下鉄谷町・京阪本線「天満橋」駅下車徒歩15分
地下鉄谷町・堺筋線「南森町」駅下車徒歩15分
市バス「桜の宮橋」停留所下車すぐ   
問い合わせ先 造幣局総務課事業案内係 TEL.06-6351-6150

 

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