ももしきの 大宮人は いとまあれや
さくらかざして 今日もくらしつ

雪舟の愛した庭に咲く枝垂れ桜

 雪舟(1420-1506)といえば日本の水墨山水画を完成させた天才画家。だれでも知っている人物だが、意外と庭を造ったことは知られていない。雪舟はその殺伐とした戦時中の世の醜いさまに嫌気をさし京都を出て、天橋立の智恩寺禅寺にこもり「天橋立の絵」を描いたり、この島根益田で過したのだろう。その時造られたのが医光寺と萬福寺の庭園だ。医光寺の雪舟の庭には美しい枝垂れ桜が咲く。益田は雪舟だけでなく、万葉の歌人柿本人麻呂ゆかりの地として知られる城下町。県立万葉公園と言うのがあり、そこには万葉集に登場する植物約160種を集めている。また雪舟終焉の地に隣接した雪舟の郷記念館(問い合わせ先(0856)24−0500)では雪舟が描いた「花鳥図屏風」をヒントに築庭された枯山水の庭があり、樹齢百年を越える白梅や桜など四季折々の雅趣を楽しむことができる。津和野は有名で観光地化されているがここ益田はその歴史のわりにはあまり人に見向きもされずひっそりとしているところが、また良いのである。

  桜のお花見もこうした史跡とともにある場合は、また別の興味もわいて風情も違う。桜も咲いている場所だけでこんなにも扱いが違うのかとも思ってしまうが、なにかに付随してある桜は幸せでもあり、また不幸でもある。その桜だけをめでにやって来るというわけにはいかないのだから。それに比べ日本一番なんて言われるとそれだけで、人はその桜を見に行くもんである。かく言う私も桜見物のはじまりはそうであったが、いまではマイ桜を探しに行こうと自分の好みにあった桜を探している。こうした場所での桜のお花見は縁側に座ってじっくりと過せるから良い。

*このページの製作年は1998年、データ内容は当時のものです*

撮影は1998年4月6日
場所
島根県益田市染羽
 交通
JR山陰本線益田駅下車
石見交通バス医光院行きで10分医光寺前下車すぐ
 中国自動車道戸河ICからルート191で約75キロ
 問い合わせ先
医光寺0856-22-1668拝観料有り駐車場有り

 

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