甲山からの風に思う・兵庫西宮甲山森林公園の桜

風におもう空の翼　輝く自由
Mastery for service
北原白秋

甲山に咲く山桜やソメイヨシノ桜

「サクランボは山形、佐藤錦が美味しいな」なんて子どもでも言うご時世になった。「桜」という漢字は中国では桜桃、すなわちこのサクランボの木を意味する。しかし、日本の桜にはサクランボはならない。なることはなるのだけれど渋くてとても食べたいとは思わない。サクランボよりも桜餅の葉っぱや桜湯の花びらの方が桜をイメージする食べ物としては一般的だ。

　ワシントンが伐った事を正直に話した樹木はサクランボの木で欧米でも一般的な桜の樹なのだが、欧米ではチェリーと言えば西洋ミザクラのことをさす。チェリーには今や日本では死語になったバージンという意味もある。桜の花はチェリーブロッサムというけれど、日本のように花自体を楽しむ桜の場合はフラワリングチェリーとかジャパニーズフラワリングチェリーと呼んで専門家たちは区別している。とにかく桜の花自体を楽しむといった粋な生き方をしている人は日本列島にしか居ないと言うことらしい。また日本にそうした花をたのしむ山桜やエドヒガン桜などの樹木が自生していたということもあるかもしれない。いまではその桜もヤマザクラからエドヒガン、シダレザクラ、園芸品種やソメイヨシノなど多岐にわたるのだ。

　そのうえ「桜湯」なんてしゃれたものまで文化としてある。「お茶をにごす」といけない席上では、お茶の代わりにこの桜湯をだすわけだ。なんとも風流なことなのだ。婚礼の席やお見合い席上で必ず出されるもので、塩づけした桜の花びらを湯に浮かべてお茶の代わりに飲むもの。細かい事にまで気を配る。そんなことを考えつく事自身ステキな事だと感心してしまうのだ。

　私は桜花賞の阪神競馬場でいただく桜湯が好きだ。桜花賞のある日は桜湯を無料で配っている。しかし結果の方はと言うと、お茶をにごしてばかり。桜花賞で一度だけ勝った時は神戸のバーでチェリーブロッサムのカクテルを飲んだが。そんなことはどうでもいい。その阪神競馬場の背にあるのがこの甲山だ。標高309m、西宮市内のどこからでも見えることから西宮のシンボルといわれ、頂上からの展望も素晴らしい。その名のごとくカブトのかたちをしており、その昔、神功皇后がカブトを埋めたためこの名がついたとの言い伝えもある。お宝が埋まっているという伝説まであって学生時代それを掘り起こそうという計画が無謀にも私のまわりに存在した。そんな物語ゆたかな六甲連山のひとつ。甲山マラソンで7着になり、体育講義はそれで「優」になった私にとっては学生時代の思い出の地でもある。非常に身じかな存在なのだ。

　この甲山森林公園は1968(昭和43)年の明治100年を記念して造られた県立公園で、樹林地域が85％を占める。アカマツ、クロマツ、ヤマモモ、コナラが樹木としては多い公園。野鳥の数も多くてバードウォッチャーも。私も撮影アングルを捜していたら、なんの鳥ですか？と尋ねられることが多い。春の桜の咲くシーズンは六甲山には多いコバノミツバツツツジもたくさん咲いていて、散歩していて本当に楽しい。もちろん桜のシーズンはここと甲東園からのその名も関学までの桜通りの桜並木や北山ダムの桜をはしごして楽しむと桜づけの一日になる。

*このページの製作年は2000年、データ内容は当時のものです*

撮影は2000年4月8日
　場所
兵庫県西宮市甲山町４３
開園時間終日定休日なし
そのほかのみどころ
千年を越える歴史を持つ神呪寺には由緒ある仏像が多く、
国指定の重要文化財の仏像も四体ある。桜も咲く。
日本三如意輪観音にかぞえられる半跏思惟の「如意輪観音坐像」、
「聖観音立像」「不動明王坐像」「弘法大師坐像」がその4体。
交通　
阪急甲陽線甲陽園駅より徒歩２５分
または阪神西宮駅より７番のりばバス「甲山森林公園」行き
「森林公園前」下車すぐ
クルマならルート２号線札場筋交差点から
ルート１７１号線経由西宮市民体育館より北へ
関学方面へ１5分だがはじめてならわかりずらいかも
道もバスも通るが道幅がせまい
駐車場は無料、５０台程度
問い合わせ先
甲山森林公園（管理事務所） 0798(73)4600

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