すりかえられてしまった日本三古泉
忘れ去られる南紀白浜


日本最古の湯、白浜にある 「崎の湯」この存在を否定する人達がいることには、驚きを通 りこして、プロとしての仕事への取り組みのなさにあきれ果てる。 竹垣の向こうが 太平洋の荒波を見ながら ゆったり入れる露天風呂。
 
   
 日本三古泉は白浜・有馬・道後です。

  よく間違える日本三名泉は有馬・草津・下呂。これに別 府・熱海が混じっていることもよくあります。雑誌やその地域の観光パンフレットにも混同したものがあります。神戸市の出している印刷物にも日本三古泉は有馬・草津・道後と間違っています。

 以前、私が神戸市の全小学生に配布する神戸の観光施設や文化施設を写 真と文章で説明する冊子を創ったことがあります。その冊子の有馬温泉の説明にこの日本三古泉は有馬・白浜・道後と書いたところ、校正作業の時神戸市の役人に「市が出したものに、そう書いてあるのだから日本三古泉は有馬・草津・道後なのだ。こう変えろ。金を出しているのは神戸市だ」と言われ変更させられたのです。アーバンリゾートフェアの時の公式パンフレットなどには確かに日本三古泉は有馬・草津・道後とあります。その時、それだけ神戸市さんがおっしゃるのなら私の思い違いではと調べましたよ。しかし、私の思い違いではなかった。結局、私は最終校正のとき独断でその文章をぬ きました。 学校で配られた冊子の中に、日本三古泉は有馬・草津・道後温泉と書いてある。誰もうたがわんはな。神戸市のいち役人がこうして間違ったことを、小学生に教えたことを指摘されてもきっと「その当時の担当者は退職してまして、・・・」とかで、誰も責任とらんのやろね。神戸市さん、疑問持った小学生から指摘されないように、私が削除しときました。 小学生に嘘は教えられん。

 そんな細かいことと言われるかもしれませんが、私だって文章書いてお金もらってる訳ですから、プロフェッショナルとして、間違いを書くなんて恥ずかしい。確かに人間まちがいは犯します。だけど故意にまちがいを犯すのは、いただけません。役所が今まで出したものにそう書いてあるとか、傲慢な理由でねじまげようとするのは。しかし、実際は嘘が流れたり、操作されていたりするのです。

「神戸市の都合で選んだ日本三古泉が有馬・草津・道後」と書くなら、まだ納得します。その際、「日本三古泉は有馬・草津・道後」と書いてある大手雑誌社P社の編集部に間違いを指摘したところ、その編集長なる人物がこう言った「私のところが、そう書けばそれが日本三古泉になるのと違いますか」。暗に「大きい組織がそう書けば、それが真実になっていくのだ」そう言っているとしかとれない。これには私もぶち飛んだ。なんら神戸市のお役人さまと変わらない。まぁ、いくらみんなが知っている雑誌だからと言って、そこに書いてある事が100%真実だ、なんて誰も思ってないだろうけれど。だけど、それほど本や雑誌に書いてあることもウソが多いと思って読んだほうがいいですよ。自分の目と耳で現地で確かめる、それが一番です。南紀白浜温泉の関係者の方は、抗議しておいたほうがよいかもしれません、そのうちにすりかえれれるかも。



 どうして間違ったか。有馬温泉は草津温泉と姉妹提携しています、そのためにわざと間違っているのだと言うウワサもあります。草津も古い温泉で色々な言い伝えがありますが、1193年源頼朝が浅間山麓に猟に来たとき温泉を発見し、家来細野幸久に湯本姓を与えて守らせたのが温泉開発の始まりだと「草津縁起」にはあり、これが一般 的な解釈のようです。それだと歴史は千年にもなりいません。一方忘れ去られた白浜湯の崎は、「万葉集」「日本書紀」「続日本紀」の文献に、「牟婁(むろう)の湯」「武漏の湯」と呼ばれ登場しています。

  有間皇子(640から58年)が斉明天皇と中大兄皇子(のちの天智天皇)に牟婁の湯への行幸を勧め、その間に謀反を企てたとえん罪をかけられ19歳の若さで処刑(658年)された、その発端となったのがこの白浜湯の崎温泉。現在も 湯崎と新湯崎の間のトンネル横の道ばたの海岸に湯がわいていて「日本最古の露天風呂」として知られています。太平洋を望み、雄大で無料、私も好きな露天風呂です。近くには、日帰り入浴できる外湯・その名も「牟婁の湯」があります。このことからも今から1400年前からここに温泉が湧き、歴史の重大事件の場所ともなっていたのです。

 「以前は白浜湯崎と呼んでいた時期もありましたが、戦後湯崎半島一帯に温泉地が広がったため白浜と呼ぶように行政がした」と地元の方から聞きました。また、千葉県にも白浜温泉はあり南紀白浜とわける事もあります。JRのポスターには「南紀白浜」が定番ですが、これは南国イメージの「みなみ」の文字が旅情と暑さをかもしだすから、とか。しかし、白いしらら浜の続く湯がわくみさき、白浜湯の崎の地名の方が素敵だと思いませんか。ほんと役人は、古くからの土地の名前を勝手に変えたりしよります。神戸なんて新しい地名だらけで、そこに住んでるものでもわかりません。日本中いたるところ同じ名前の新興住宅地、どうして昔の名前ででてないのでしょうか。


 日本三古泉は、「万葉集」「日本書紀」「古事記」など歴史上の文献に数多く登場する事で、有馬・白浜・道後とされています。一方混同される日本三名泉は江戸時代徳川家康に仕えた儒学者・林羅山(道春)が選んだもの。この日本の中で三つ選ぶ式のもので、最も知られているのは、日本三景の安芸の宮島・天橋立・松島ですが、これは林羅山の子・林春斎が全国を旅して書いた「日本国事跡考」の書物に登場したもの。最近は日本三景も、あまり言われなくなりが。なぜか日本人は三つ選ぶのが好きなようですが、時代によって勝手に変わったり、故意に変えられたりしているのが実際のようです。だから、あまりあてにはできないと思った方がいいのでしょうね。頭の悪いライターが日本三大ほにゃにゃらと書いたりしてるのは、要注意デス。でっち上げかもしれません。ですから日本三大ほにゃにゃらは、例えば林羅山の選んだ日本三名泉は有馬・下呂・草津とか、MacFukudaが嘘か真かえらんんだ日本三名泉は然別 峡かんの温泉・越後松之山温泉・阿蘇地獄温泉とか出所を表記すべきかも。


 そしてこの三古泉・三名泉に混同される別府温泉。このわけはたぶん昭和2年に東京日日新聞と大阪毎日新聞が一般 読者から募集した「日本新八景」の温泉部門で、別府温泉が一位に選ばれたからだと言う説があり、私もそう思います。その後、別 府・熱海・有馬で日本三大温泉とか、日本三大歓楽温泉とか呼ばれるようになったとか。しかし、一般 読者からの人気投票で決めるものだと思はれてたこの「日本新八景」、人気投票では一位 花巻温泉だったのが、有識者と呼ばれる人間の決定により別府温泉にすり変わってしまったとか。選ばれたこれらの温泉は、いまでは社用族と言われる自分の金ではまずこない人たちに占領され、旅人の疲れをいやす宿や湯治のための温泉宿はなくなった。そこには銀行などの保養所でき、一般 の人たちはこなくなつた。一度来ても、二度と来ない。まず、こうした温泉地はいちげんで宿を訪ねて宿泊すると、驚くほど高い。しかし、日本交通 公社のクーポン券など買うと安くサービス良く泊まれる。これも変な気がしますが、しかたない長いものには巻かれろか。もし、こうした温泉地に宿泊される場合は、日本交通 公社に行って宿のクーポン券をお買いになることをおすすめします。

 しかし個人客を馬鹿にしたつけは、こうした温泉地を見れば解るような気がします。九州の温泉と言えば、いまでは一番人気は湯布院。隣の別 府より雰囲気は良いし、「個人客を大切に」してくれる。別府の地獄めぐりしたければクルマで15分、高速道路で行けてしまう。そりゃ、すたれます。湯治するなら別 府のすぐ隣りの鉄輪温泉がある。個人客もツアーのお客さんも分け隔てなく大切にしてこそ、どちらの方もまたそこを訪れようと思うのとちゃいますか。

  悲しいかな変に日本何々に選ばれ全国の人に知られてしまったから、乱開発のすえ今はあえて泊まりに行く人もいない。大規模リゾート計画なんてバブルの夢みた先は、廃虚ですからね。てこ入れにと立派な外湯を造ってみたら、日帰り入浴で十分になってもた。観光地もその地域に合った、そして何度も足を運んでくれる地元の人や個人旅行者がつき、口コミで知れ渡るようなところに方向転換して欲しいですね。口コミと言えばホームページも十分その役割を果 たすとおもいます。いいところは紹介されて、ますます良くなり、駄目になっていくところはますます悪くなる・・

  「人が人を呼ぶ」とは昔の人は良く言ったものですね。行政主導ではなく、その地域の人が中心となって「人が人を呼ぶ」ような温泉地がこの世界で日本だけの温泉文化に根づいて欲しいと思うのは私のような旅人だけではないはずです。

*このページの製作年は1996年、データ内容は当時のものです*
 

白い浜が美しく続く白浜。この海水浴場の先に「万葉集」「日本書紀」「続日本紀」の文献にも記述のある「牟婁(むろう)の湯」がある。
 

白浜は近畿地方では一番早く海開きをするほど、暖かく温泉治療にぴったりな気候だ。2000年の海開きは5月3日で、なんとも早い。
 

日帰り入浴ができる外湯「牟婁(むろう)の湯」
 

温泉と言えば「温泉卵」海水浴のあとのほくほくの温泉卵とビールが最高だ。白浜、崎の湯「鎌倉商店」の温泉卵は「反対卵」と言って、黄味が固くて、白味の部分が柔らかい、かわりもの。
 

白浜は海の幸も豊富だ。めずらしいクツエビも食べさせてくれる「幸鮨」(こうずし)さん。美味いすしを食べて、温泉にはいる、もう言う事なし。幸鮨0739-42-4027
 

白浜のイメージと言えばこの円月島、夕日がちょうど真ん中の円に沈む時は圧巻だ。
 

白浜には自然の景観に見るべきものが多い。これは千畳敷、カップルのメッカでもある。
 

こちらは三段壁、少々足がすくむが太平洋の荒波がつくりだす豪快な景観だ。
 
南紀白浜観光協会0739-43-5511
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